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今こそオススメしたい漫画『BASARA』超”ネタバレ”ありのご紹介

 

名作と言える漫画は数多くありますが10年以上前に読んだのに時折思い出す、完結して年数が経つのに未だに話題に上がるものはそう多くありません。

 

本記事でご紹介する『BASARA』は未だに話題に上がるということはないかもしれませんが、強く印象に残っている珠玉の名作の内の1つです。

最初の方は少女漫画系の画で苦手な方もいるかもしれませんが読んでいれば気にならなくなります。

 

作者の田村由美先生は現在「ミステリと言う勿れ」を描かれていますね。こちらも名作です。

 

『BASARA』は少し古い漫画ですがレビュー評価は巻により4.60~5.00と超高評価です。

13,000冊以上持っている私の好きな漫画トップ層に未だに居続けています。

 

めちゃくちゃネタバレしますので苦手は方は↓この先↓閲覧注意です。

 

 

 

■『BASARA』とは?

前27巻完結で最終巻は2000年2月26日に発売されています。24年も前です。

 

物語は文明が滅んで数百年が過ぎた日本で始まります。

出典:BASARA「1巻」

 

そんな日本の地方のある村で「人々を救う運命の子」が産まれます。

出典:BASARA「1巻」

しかし子供は双子でした。

 

男の子は運命の子「タタラ」として、女の子は「更紗」(さらさ)として育ちます。

両親を含む村中がタタラを持てはやし何でもタタラ優先、同じ日に産まれながら肩身の狭い思いをする更紗、幼い更紗はいつも寂しい思いをしていました。

 

タタラの誕生日、村を上げてお祝いをします。祝福ムード一色です。

村に居たくないと外に出る更紗、幼馴染の「まーくん」が追いかけてきます。

 

しかし誰も更紗の誕生日は祝ってくれません。同じ日なのに・・・。

出典:BASARA「1巻」

同じ日に産まれたのにと更紗は村を飛び出して砂漠を駆けます。

 

そこへ軍勢が・・・村に向かっていました。

反乱の旗印になりうる「タタラ」を差し出すようにいいます。

村に戻ると幼馴染の「まーくん」がタタラの身代わりとして差し出されていました。

出典:BASARA「1巻」

更紗は命を差し出してまでタタラにすがる状況に疑問を浮かべます。

 

そして3年が経ちます。

 

再び軍勢が村にやってきました。タタラが偽物だったとバレていたのです。

 

見つかり打ち首となるタタラ、絶望する人々・・・

無抵抗の村人は次々に殺されていきました。

 

止めに入ったタタラと更紗の父親も「赤の王」とという冷酷な目をした男に殺されます。

出典:BASARA「1巻」

この男は「まーくん」が殺された時も軍勢を指揮していた男でした。

 

逃げ惑う人々、絶望する人々、更紗は兄「タタラ」の言葉を思い出しました。

出典:BASARA「1巻」

そして長い髪をナイフでバッサリ切り覚悟を決める更紗、兄「タタラ」と同じバンダナを頭にして村人の前に姿を現します。

 

そして殺されたのはタタラではなく妹の更紗だったと自分で言うのでした。

出典:BASARA「1巻」

そして村の医者で先生で預言者の「ナギ」は気づきます。

運命の子はタタラではなく更紗だったと。

出典:BASARA「1巻」

こうして更紗はタタラとして生き、人々のために戦うことを誓うのでした。

 

しかし敵は日本を征服している国家です。しかも体制は盤石。

出典:BASARA「1巻」

暴君ではあるものの暗君ではない王の統治で人々は苦しんでいますが、有能でした。

 

子供達も優秀です。

出典:BASARA「1巻」

日本を4分割しそれぞれ優秀な子供たちに統治させていました。

更紗がいるのは山口県付近、統治するのは仇敵「赤の王」です。

 

こうしてタタラとなりタタラ、父親、村の仇を撃つために戦うことにした更紗。

各地で協力者を得ながら赤の王を追い詰めていきます。

 

私は本作を19歳~23歳くらいの時に読みましたが以来ずっと忘れることがない名作として記憶に残っています。

 

全27巻とそれなりにボリュームがありますが続きが気になって止まらない名作漫画で超オススメです。

 

↓この先は更にネタバレ↓がありますので特に閲覧注意です。

 

 

 

■特に印象に残っているシーンとオススメする理由

本作にハマった理由は仇敵「赤の王」を追い詰めるからでも戦争物が好きだからでもありません。

 

以前の記事にも書いているのですが、今でこそありがちと言えるようになった「超すれ違いまくり、お互い好きなのに結ばれない2人」の物語が熱いからです。

taira152452.jp

言うまでもありませんがすれ違いまくる2人は「更紗」と「赤の王」です。

 

なんということでしょう・・・。

 

仇敵同士が恋仲となるのです。しかもお互いの素性を知らずに・・・。

このすれ違いは1巻で初めて会ってから15巻で対峙するまで続きます。

1巻が1991年3月26日に発売され、15巻が1995年6月26日に発売されているのでリアルタイムで呼んでいた方は4年以上もヤキモキしたことでしょう。

 

しかしこれがハマります。

昔の日本のドラマやハマり易い韓国ドラマにあるような人の感情をグングン刺激するストーリーなのです。

 

特に15巻でお互いを素性を知るシーンは圧巻でした。

 

タタラに扮した更紗をタタラであると思いおびき出そうとする赤の王は本物のタタラの首をコロシアムにさらし首にして罠をはります。

ここで更紗は古代中国の斉の名将「田単」、日本の戦国時代の謀聖「尼子経久」のように「火牛」を発動します。

出典:BASARA「1巻」

このように知恵を絞ったり、各地で協力を得たり、軍師を得たりしながら赤の王をおいつめるのも本作の魅力です。

 

そして特にオススメする&ハマった理由の恋仲の方です。

出典:BASARA「1巻」

主人公の更紗は年頃の女の子、しかも兄の代わりに運命の子として英雄タタラを演じており重圧が凄いため度々1人で湯浴みや水浴びに行くのです。

 

故郷の村を滅ぼされひと段落したところで温泉に来た更紗、そこにやって来たのは大事な愛馬の療養ための湯治にきたイケメンでした。

出典:BASARA「1巻」

 

突然の出会いに驚きつつも言葉を交わしお互いに名乗って別れます。

出典:BASARA「1巻」

 

男は「朱里」(しゅり)と名乗ります。朱里の馬がケガをしていると知り薬を届けに来た「更紗」、2人は距離を縮めていきます。

出典:BASARA「1巻」

 

そして自分の目的を話す更紗、朱里は軽い気持ちで流します。

出典:BASARA「1巻」

 

更紗と別れてから赤の王の装いに戻る朱里。そうです、朱里は赤の王でした。

朱里もまた国のために重圧を背負い悲壮な思いで生きていました。

出典:BASARA「1巻」

 

運命の子、英雄としての自分でなくてよいのが心地よい更紗、赤の王、国を背負う重圧から解放されて心地がよい朱里の2人はその立場から1人になる時間が必要で、しがらみがなく話せるお互いに惹かれていきます。

 

一方、タタラとしての更紗は赤の王への憎しみを増やしていきます。

出典:BASARA「1巻」

 

兄タタラの身代わりとして殺された「まーくん」の母親。

タタラが生きていたことで殺された更紗のことは誰も悲しまないことを寂しく思い、更紗本人に更紗のお墓を作ってよいか?と尋ねます。

 

出典:BASARA「1巻」

自分の子供が身代わりで殺れたのに自分のことをこういう風に思ってくれている人がいて涙する更紗、全て赤の王が原因でした。

 

道中では次々と世話になった人が赤の王の策略で命を落とします。

出典:BASARA「1巻」

村長は更紗を生かすために橋の上で自害して敵を道ずれにしました。

これも赤の王の策略が原因となった犠牲です。

 

更紗は「赤の王」打倒への気持ちを強めていきます。

 

一方、タタラではなく更紗として、赤の王ではなく朱里としての2人は会うたびに距離を縮めていきます。

出典:BASARA「1巻」

井戸で、水辺で、温泉で・・・いつも会うのです。

それもそのはず。

 

更紗はタタラとして赤の王を打倒すべく追っていました。

朱里は赤の王としてタタラを討伐するべく追っていました。

2人はお互い、もしくは関係者が常に近くにいたのです。命を狙うために。

 

その都度、リーダーとしての重圧から解放されるために1人の時間を欲して再会しまくります。

 

いや気づけよ!おかしいやん!?友達に会いに来たって無理ない?とか突っ込みたくなりますが、とにかくすれ違いまくります。

 

この辺りは今で言うと韓国ドラも同じですね。

さっきまで居たのに!あ~横、横!、3話目くらいから仕事しなくなったり・・・交通事故、記憶喪失とか。

 

そうやって距離を縮めていった2人は恋仲になります。

出典:BASARA「15巻」

更紗は赤の王を倒したら朱里と一緒に、朱里はタタラを倒したら更紗と一緒になると決意して戦場へ赴きます。

 

そして遂に対峙します。

出典:BASARA「15巻」

仇敵に対してお互いに雄たけびを上げて向かい合う2人

 

しかし・・・

出典:BASARA「15巻」

念願の仇敵を目の前にして時が止まったような、スローモーションのような時間が流れます。

 

赤の王に斬りかかったハズの更紗は目の前にいるのが朱里だと気づいて手を止めます。

出典:BASARA「15巻」

 

馬に乗り突撃して来るタタラを迎え討とうとした朱里も更紗に気づきます。

出典:BASARA「15巻」

 

仇敵を目の前にしながらお互いに呆然として立ちつくす2人と騒ぎ立てる両軍の配下

出典:BASARA「15巻」

 

 

なおも状況が飲み込めず手を止めたままの更紗

出典:BASARA「15巻」

 

 

同じくな朱里

出典:BASARA「15巻」

 

 

超優秀な赤の王も混乱状態で信頼する腹心にタタラがどれかを尋ねます。

出典:BASARA「15巻」

 

そして目の前にいる更紗を指差し、唯一気が許せる親友だった「四道」を殺したのは”あの顔”であると言われます。

出典:BASARA「15巻」

 

なおも呆然としたまま動かない2人、両軍の配下たちはお互いの仇敵を目の前に煽り立てます。

 

そして事態を飲み込めないままの更紗は力なく号令をかけます。

出典:BASARA「15巻」

 

冷静沈着な筈の赤の王はそれでも状況が飲み込めず呆然として物思いにふけります。

出典:BASARA「15巻」

 

そして更紗=タタラだと理解した赤の王でしたが戦う気にはなれず敗走してしまいます。

 

出典:BASARA「15巻」

朱里は敗走先の岩場で仇敵のタタラでさえなければ誰でも良かったのにと絶望し自害しようとするのでした。

 

赤の王としての朱里は冷酷で残忍ですが、朱里サイドからみるとタタラは反乱分子であり国を混乱させる要因でした。若いころから才を発揮し多くの有能な配下を抱える赤の王がこの時は超ポンコツ。更紗を目の前にして現実を飲み込めず、何もできないまま敗走してしまいます。

 

一方更紗も重症で赤の王=朱里と分かり心ここにあらず。超有能で命がけで付き従ってくれた配下も去っていってしまいます。

 

そして遠く離れた場所で軍を離れて過ごすことになりました。

 

この後は再会、共闘とまだまだドラマが続くのですが、この15巻は特に記憶に刻まれているシーンです。

 

27巻とボリュームがありますがレビューは高評価で読み応えがあります。

最近の漫画は800円程度することが多いですが古い作品なので500円未満と控え目、また最初の数巻は無料で読めるサイトもあるかと思います。

 

読んだことがない方にはぜひ読んでみて欲しい作品です。

 

 

■おわりに

1巻の1ページ目に記載がありますが『BASARA』とは「古い権威を否定し因習・拘束を排し思いのまま自由闊達に生きる精神」のことをさしています。

初めて読んだ時は『SAMURAI DEEPER KYO』の十二神将の影響でバサラ=ゴリゴリのバトル系かと思って読み始めたのですが読み始めると良い意味で予想を裏切られまくりハマりました。

 

そんな不朽の名作漫画『BASARA』、本記事きっかけで興味を持って頂いた方、昔読んだけど本記事でまた読み返したくなった方がいらっしゃれば嬉しく思います。