『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠すZERO ~The Great Saint of Remembrance~ 』の2巻が2024年9月12日に発売されました。
本作は『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す A Tale of The Great Saint』の過去編を描いたスピンオフ作品です。作画は「海楠」先生でめちゃくちゃ画が巧いですね。本編も巧いですがこちらの方が美麗かもしれません。
レビューは1巻が4.80、2巻が4.90という高評価です。
元々本編がめちゃくちゃ面白い漫画ですが本編の中で回想したシーンや語られたシーンを描く過去編となっており本編の主人公である「フィーア」の前世である大聖女「セラフィーナ」が主人公です。
そんなもの面白いに決まってますが本記事では『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠すZERO』のご紹介と最新"2巻"の感想について記事にいたします。
高評価も納得のめちゃくちゃオススメな漫画です!
本編を読み直してから読むと更に理解が深まり「あぁ、うん、なるほど……」となります。
ネタバレを含みますので閲覧注意です。
■『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠すZERO』とは?
本編の主人公「フィーア」の前世である「セラフィーナ」の物語、大聖女セラフィーナが活躍した時代は本編の300年前です。
ナーヴ王国の第二王女だったセラフィーナは目が見えないため政争から遠ざけるために離宮に隔離されていました。
そんな時に王弟の1人息子である「シリウス・ユリシーズ」公爵に離宮にいる娘を迎えに行って欲しいと国王が頼みます。
このシリウスは騎士全体のNo2であり、王国最強の騎士であり、公爵なので影響力が強く王太子達も逆らえませんでした。既にそれぞれに支持者がおりそれなりに権力を持っていた王太子たちと違い、幼く目が見えないセラフィーナの補佐を頼むのはこのシリウスしかいなかったのでしょう。
セラフィーナに会ったシリウスは膝をついて挨拶、シリウスとセラフィーナはすぐに打ち解けました。
しかし森を騎士達と散歩中に複数の魔物が近づいてきていることを察知します。
騎士達はセラフィーナを守りながら応戦しますが大苦戦。王国一の強さを誇るシリウスもやってきましたが劣勢は変わりませんでした。
セラフィーナは皆を助けたいと願います。すると目が開き見えるようになりました。
聖女としての力を覚醒したセラフィーナは一気に騎士達を回復して複数のバフもかけます。
これで勢いづいた騎士達は魔物を蹴散らしていきます。
王国の角獣騎士団副総長であり、王国一の強さを誇るシリウスもセラフィーナの力は規格外であると驚きます。
深紅の聖女とはセラフィーナの髪の色から来ているのだと思います。
本編のフィーアも紅い髪ですね。
シリウスはプロポーズかと思うような言葉でセラフィーナに王国に来て欲しいと誘います。受けるセラフィーナ、王国に行くことになりました。
そして護衛騎士の選抜です。王族は護衛騎士を選びそこから近衛騎士団を形成していきます。政治や力関係から誰が護衛騎士になるかは事前に決まっており出来レースなのですがセラフィーナは「自分で選んでいいんですよね?」と言い離島の民であり王国貴族ではない少数民族の男「カノープス・ブラジェイ」を選びます。
これは本編でも描かれていましたね。本編のカノープスとフィーアの回は神回でした。
こうしてセラフィーナの護衛騎士になったカノープスは忠誠を誓います。
周囲の人間が別の人間にしようとざわつく中でシリウスはセラフィーナが選んだカノープスに剣を渡して正式に護衛騎士に任命します。
しかし王国貴族ではないカノープスへのあたりは厳しいものでした。それは陰口だけでおさまらず直接的な暴力にまで発展します。
そこへセラフィーナがやってきます。セラフィーナはいいか悪いかは私が決める。カノープスは私が選んだ護衛騎士、実は私は目が見えなくて離宮に隔離されていたと国家機密を喋ってしまいます。
一部の王族しか知らない機密をカノープスを守るため、カノープスに絡んでいた騎士達の理解を得るために話したセラフィーナにカノープスはもちろん騎士達も自分たちの行動を恥じて謝罪します。以後はカノープスがしっかり護衛できるように協力すると騎士達も約束してくれました。
本編での回想シーンや断片的に語られていたことがしっかり物語として描かれているのは見応えがあります。
本編では7巻でカノープスと再会、その付近の回想シーンでシリウスも登場します。
本編7巻の再会シーンは必読の名シーンです。
上部で現世を影の部分で前世にて護衛騎士にした際の情景を描いていますね。
本編7巻で再会し8巻では前世で果たせなかった護衛騎士の役目を現世でフィーア相手に改めて誓うのでした。
シリウスとの出会い、カノープスとの出会い、青騎士、白騎士、黒騎士、聖石と本編は回想シーンでしか語れなかった部分が深堀されます。
画も美麗ですし本編、スピンオフを続けて読めば更に楽しめる超オススメの漫画です。
■最新"2巻"の感想
2巻は護衛騎士のカノープスを試そうと呼び出した「ウェズン」とカノープスの手合わせから始まります。
ウェズンはセラフィーナが子供であるため見た目の良いカノープスを装飾品のようなつもりで選んだと思っていたのです。しかし手合わせをするとウェズンには敵わなかったものの相当な手練れであることが分かりました。ウェズンは騎士団の総長でありながら所属していたカノープスの実力を見抜けなかったことを反省し見抜いたセラフィーナを褒めます。
そして王国一の騎士であるシリウスもカノープスの実力を認めました。
王族であり王国一の騎士であるシリウスに褒められることは王国騎士として最上の誉れでした。カノープスは一層の忠誠を誓い精進していきます。
一方、セラフィーナは精霊とのコミュニケーションや独学で聖魔法を使えていましたが本格的に学びたいので聖女の元に行きたいとシリウスに願います。
そうして連れて来られたのが第四聖女騎士団です。
なんという美女軍団……。
しかし聖女たちはエリート聖女騎士団に幼い子供を連れて来られた上に、その子供はシリウスを呼び捨てに礼儀知らずとしてセラフィーナのことを軽んじる発言をしてしまいます。
これにシリウスが激怒、見せたことのない表情で威圧するのでした。
そんなハプニングの最中でグリフォンにセラフィーナが連れ去られてしまいます。
何が大丈夫かは分かりませんがセラフィーナはシリウスに心配をかけまいと叫びます。
そして連れてこられた洞窟には黒いフェンリルがいました。
グリフォンと黒いフェンリルは共闘しながらセラフィーナを守りつつフェンリルを迎撃しますが数が違いすぎて苦戦……
そこに魔物が跋扈する森を駆け抜けて洞窟まで単独で助けに来たシリウスがやってきました。こうしてフェンリル達を撃退します。
王宮に戻ったセラフィーナですが庭の陰に黒いフェンリルがいることに気づきます
追ってきてしまったのです。黒いフェンリルは災害級の魔物であるため騎士団に見つかったら討伐対象ですがセラフィーナにケガを治してもらったことで懐いていました。
本編は黒竜ですがスピンオフは黒狼(黒いフェンリル)なんですかね。
2巻の最終ページはカラのあるナッツで歯がかけてしまったセラフィーナをみて死にそうになったシリウスがセラフィーナが口にする可能性がある硬いもののカラをひたすら外すというシュールなコマで終了となりました。
第二王女とは言え、王弟の1人息子で公爵のシリウスがやることではありませんが、それだけセラフィーナが大事という事ですね。
魔族がどう関わって来るのか?
黒いフェンリルはどうなっていくのか?
3巻も楽しみな超オススメ漫画です。
↓この先は更にネタバレしますので閲覧超注意です。
■セラフィーナ✖カノープス✖シリウス✖黒騎士✖アルテアガ帝国
この部分は本記事のタイトルとはブレるのですが本編の10巻までと『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠すZERO』の2巻までで気になったことについて記載します。
本編の主人公フィーアは前世で大聖女と呼ばれたセラフィーナです。
そして魔王を討伐することに成功しますがポンコツクズ王太子達の体たらくもあり強力な魔族に捕まり殺されてしまうことも分かっています。それが理由でタイトルにあるように大聖女とバレて魔族に見つからないように力を隠しているのでした。
そして前世ではシリウスという強力な騎士の見方がいることが回想シーンで分かっています。スピンオフ『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠すZERO』では本記事でご紹介したようにシリウスとセラフィーナの出会いから描かれています。
そんなシリウスは本編にて下記のような描かれ方をしています。
黒髪です。そしてサザランドにおり大聖女が現れるまで聖石を守れと言っています。
本編9巻ではこの時のシリウスの指示が300年を経て達成されたと記載されています。
また9巻でカーティス(カノープスの生まれ変わり)がフィーア(セラフィーナの生まれ変わり)と会話をするシーン。「このような場面を『黒騎士』が見たならば やはり美しい夢だと思うでしょうか?」これに対してフィーアは青騎士、白騎士しか知らず「黒騎士?」と聴き返します。カーティスは震えながらフィーアは「黒騎士に会ったことがないのでしたね」と言います。
大聖女の死で狂ってしまった歴代最強の騎士=シリウスでしょう。
最初の画像でも黒髪になっていますし。何らかの理由で魔王討伐の最終決戦に同行できずクズな王太子達のせいで大聖女を失ったシリウスは発狂して闇落ちしたのかもしれません。
また黒目黒髪は強力な証ということも本編では語られています。
魔神、黒騎士にクラスチェンジしたシリウス、そして現騎士団総長のサヴィスも黒目黒髪でした。このサヴィスは謎が多いので今後の動きが気になります。
更に本編5巻の神回である3兄弟とのシーン、この3兄弟はフィーアがいるナーヴ王国と大陸を二分する超大国アルテアガ帝国の王族で長男が皇帝、次男と三男はそれぞれ皇位継承権1位と2位です。
そんな次男と三男と道中でカーティス(カノープス)が口にした台詞はアルテアガ帝国がシリウスに関係のある国ということですね。
しかもアルテアガ帝国の女神=神ではなく大聖女セラフィーナを指しているとのこと。
300年前にセラフィーナを失い、クズ王太子達にブチギレて闇落ちしたシリウスが黒騎士にクラスチェンジしてアルテアガ帝国を建国?
どうなんでしょう?
スピンオフの登場で本編が更に楽しくなりました。
■おわりに
スピンオフでは"どこまで"を"どう描くか"ですよね。本編をみている殆どの人は知って先を知っているわけで…。
よくあんなに明るく天真爛漫な感じで転生したなと思います。
また本編では大聖女がいなくなった後に最強の騎士である黒騎士が誕生したと言いカノープスが震えるシーンがあります。この黒騎士はシリウスだと思いますが、シリウスがどうなっていくか?そこまで描かれるのかも気になりますね。
いずれにせよ本編で語られていた「シリウス」とのやりとり、「カノープス」とのやりとりは胸熱です。
しかしカノープスというとタクティクスオウガ、シリウスというとファイアーエムブレムの黒騎士カミュを思い出してしまう…。
本編を読んでない方でも楽しめますが、読んでいる人には超絶オススメですね。
本記事キッカケで読んで頂いた方がいたら嬉しく思います。