本記事には不快な表現や文言、エピソードの記載があり【超閲覧注意】です。苦手な方はご注意をお願いいたします。
2016年12月24日は私の中で最も忘れられないクリスマスイヴです。
(クリスマスイヴは24日の夜を挿しますが本記事では24日0時以降としています)
もちろんネガティブな意味で…。
そもそも幼少期よりクリスマスというイベントに縁がなかった私は「◯◯くんはクリスマスに□□を買ってもらってるよ」と言い、両親にプレゼントを催促しても「ウチはうち!ヨソはよそ!」とシンプルかつ明確に拒否されて来たのです。
クリスマスイブのちょっと前から増えるカップル、そこら中でイチャつくカップル、浮かれる人々、浮かれる街並み、煽る世の中。
ほとんどのクリスマスに対して「チッ」と思って生きて来ました。
そんな私が忘れられない2016年のクリスマスイブに何があったのか?
不運が重なり普通では味わえない経験をしました。
この先は不快な表現や文言が出て来ますので【超閲覧注意】でございます。
■2016年12月23日と12月24日の北海道にて
5泊の出張を終えて支社を出発し快速エアポートに乗り込んで新千歳空港へ着いた私。
待ち受けていたのは不穏なアナウンスでした。
「積雪の影響で遅延や欠航が発生しております。最新の運航状況につきましては〜」
エスカレーターを上がると長蛇の列が視界に入ります。
「マジか!!」と思いましたが欠航は初めてではなかったので焦ることなく状況を確認しました。
結果、絶対に飛ばないことが分かったためどうるすかの判断を迫られました。
①空港で一夜を明かす
②札幌に戻って一泊する
③別ルートで無理矢理帰る
大勢の人でごった返しており①空港で一夜を明かすは避けたいと思いました。海外からの旅行客がグランドスタッフさんに詰め寄ってました。
これらはニュースにもなっていましたね。
天気相手に怒ってもしょうがないし空港のスタッフさんには何の罪もないというのに…。
②札幌に戻って一泊するについては同じように考えている人が多く同僚にも協力を仰いでホテルを探してもらいましたがどこも満室でした。
そうしている間にも次々と快速エアポートで新千歳空港に来てしまう人々で空港は更に混沌としていきました。
怒る旅行客、泣く子供達、疲弊する人々、奔走するスタッフさん達。カオス!カオス!でした。
この様な状況にて③を選ぶことにしたのです。
地獄への入口と知らずに…。
時刻は17時頃でした。
空港から新千歳空港に向かい方向音痴&移動が苦手な私は駅員さんにルートを聴きました。
南千歳駅は同じ考えの人で空港同様にごった返していました。
しかも大雪がホームに積もりまくっており横殴りの吹雪で地獄の寒さ。
私は雪に埋もれたお地蔵さんの気持ちで震えながら電車を待ちました。
当然ですが大雪なので電車も通常運行ではなく遅れが出まくっています。
3時間ほど待ったでしょうか。
携帯の充電は万一に備えて残しておきたいし、ポケットから手を出すと凍りそうだったのでひたすら物思いにふけっていたと思います。
時刻が20時を過ぎた頃、やっと来た電車に乗り込みました。
社内は超々満員。全ての車両の隅々まで人が直立不動でギッシリ詰まっている状態でした。
普段電車には極力乗らないようにしている私はこの時点でメンタルがギリギリだったのを覚えています。
色々なイレギュラーで情報が欲しいところでしたが定型の自動アナウンスしか流れない車内、身動きがとれない状態で携帯を出して調べる事も出来ず、今どこにいて、あとどれくらいで函館に着くのか分からないままひたすら立っていました。
この時点で通常の生活の中では地獄度が激高ですが、この後この時点が幸せだったと感じることになります。
電車に乗って2時間程が経った時にある異変に気づきます。
私の方を向いて立っている男性が異常な雰囲気だったのです。
「ハァハァハァ、ハァハァハァ、フゥ~、フゥ~、ハァ〜、ヒィ〜」と言っていました。
恐らく太陽拳の使い手である男性の頭頂部が私の顎のあたり、小太りな感じで年齢は45〜55歳くらいに見えました。
そのゴリゴリのおっさん男性が超々満員電車で私の方を向いて「ハァハァハァ」言っているのです。
地獄!!
私は心の中で「うわ、なんなんの人?やべーよ、勘弁してくれよ、きついって」と思っていました。
私が女性なら逮捕され兼ねない息遣いです。
しかも荒い息遣いはどんどんヒートアップしていきます。
「ハァハァハァ、フゥ~、フゥ~、ハァ〜、ウ〜ン、ウ〜ン、フィ〜、フィ〜」と。
私は色々と想像しました。
もしかして狙われているのか?などと。
手足を動かすことすら出来ないギュウギュウの状況で逃げ場はなく恐ろしかったです。
男性の息遣いが荒くなっていることに気付いて30分ほど経った頃にもう一つの異変に気づきました。
横殴りの猛吹雪で皆がビショビショだったので気づくのが遅れたのですが異様な量の汗が吹き出していたのです。
超々満員で身動きが取れず息苦しい状況で男性は小太りだったので最初は暑いのだと思いましたが、汗の量が尋常ではなかったので「あれ?大丈夫か?この人体調悪いんじゃ?」と心配になったのです。
やや下を向いて私に太陽拳を喰らわせながら、なおもヒートアップする息遣いと吹き出る汗。
それから少し経って刻が来ました。
突如危険なミュージックが男性から鳴り響いたのです。
「プッ、プゥ、ブッ、ブリョリョリョリョー」
それは盛大かつ豪快でした。
皆、一様に満身創痍で誰も喋っていない「シーン」とした中で突然の大音量。
そしてワンテンポ遅れてやってくるバイオハザード的な香り。
こんな地獄があるとはっ!!
ネットの掲示板などで「う◯こを漏らした」エピソードを何度か目にしたことがあったのですが、まさか自分が関係者になるとは思いもしませんでした。関係者というのも変ですが…。
直立不動で全く身動きが出来ず、ゴールまでの時間も分からないという絶望的な状況。
男性は「ふぅ〜〜〜」と長めに息を吐き、やりきった感を出していました。
後で思えば不運な欠航、猛吹雪にさらされながら長時間待ちでお腹は冷える、想定を超えまくる超満員の車内と「超スローペース&止まり止まりで遅々として進まない電車」
そんな中で急な腹痛に襲われ男性の心の内は「何でオレがこんな目に!?」という憤りや絶望でいっぱいだったと思います。
3メールほど先にお手洗いがありましたが何をどうやっても動ける状態ではなく私も後半は祈りながら小さい方を我慢していました。寝ることも出来ない体勢で八方塞がりだったのです。
周りには大勢の人がおり事が起きれば大迷惑をかけるのは明白でした。
自分だったらどうか?考えたくもありません。
とは言いつつも実際その場に居た時は色々と厳しい。
何を食べたの?というエキセントリックな香りが車内を包み込みました。
私を含む数名は事態を即把握できたため鼻を隠したり、息を止めたりと劣悪な環境の中で足掻けるだけ足掻きました。
しかし猛吹雪の風の音、警笛(視界が悪く動物対策で頻繁に鳴らしていた)、電車のガタンゴトンという無機質な音のみの中で周囲がザワザワし徐々にその静寂が破られていきます。
あまりにもエキサイティングな香りに突如として見舞われ「何これ?」、「え?なに?なに?」、「臭い」と騒ぎ始めます。
外国からの旅行者の方も「オーノー」、「クレイジー」、「ジーザス」等と単語を発していました。中国や韓国語と思われる声も複数聴こえ、意味は分からずとも何となく文句系だったのは感じました。
その他は「オェーーー」と吐きそうになる人、泣き始める小さい子等と地獄絵図でした。
ネットで「事を起こした」賢者達のエピソードを見ると極限まで我慢して耐えるも「事が起きた」後は何をどうしてもどうにもならないので「無心で時が過ぎるのを待つしかなかった」というのを見たことがあります。
この男性はどうか?
驚くほど威風堂々としていました。
先ほどまでの男性と同一人物とは思えないほどの落ち着きっぷり。
むしろ男性の方が怒ってない?という雰囲気すらありました。
超満員電車で「う○こ」を大人が漏らして「何か文句あんのか?」みたいな勢いです。
さらに男性はおもむろに顔を上げて私にガンを飛ばしてきました。私は全く文句を言ってないし責めてもないのにこんな理不尽な事はないなと思いました。
とんでもない爆弾を炸裂させといて睨みつけてくるとはっ!?
余りにも絶望的な状況にスッキリした事で憤りを覚え始め、世の中に対する怒りを目の前の私にぶつけて来たのかもしれません。
事を起こした男性にはこの世に恐れるものなどなかったのだと思います。正に無敵だったのです。
私はあらゆるストレスを少しでも軽減しようと180度回転して方向だけでも変えられないか?と考えましたが全く動けません。
その時「ハッ」としました。
私は男性と対面だけど男性の背中側はどうなっている?と。
恐ろしい事に私と同じくらいの年齢の女性が「男性の背中を向いて」立っていました。
おそらくダイレクトです。
こんな暴力は見たことも聴いたこともありません。
ギッチギッチの満員状態だったので「その時」の感触も伝わった筈です。厳しすぎる。女性は泣きそうになっていました。
私が女性の立場だったらきっと泣いていたと思います。
想像してみてください。
全く動けない状況でおっさんから産まれた物の感触がビシビシ伝わって来るのです。
猛吹雪で極寒の北海道、予定外の長距離移動と立ちっぱなしによる疲労困憊、ダイレクトな感覚、エキサイティングな香り、向けられる疑惑の目。
私は男性に睨まれながらも女性に「気の毒に…頑張って」という視線を送っていました。
そして通常だったら今頃は自宅でゆっくりしていたのに…と思いました。
全く身動きが取れず電車もゆっくりとしか進まない中、私はとにかく楽しい事を考えたりと四苦八苦しますが、その度に余りにもオフェンシブな香りが嗅覚を襲い想像する全てに「う◯こ」が入って来てしまいます。
何とか頑張って芸能人と付き合えたら?宝くじが当たったら?と考えたり、余りの運の悪さに懺悔をしてみたり…
何もやっても「う◯こ」がカットインしてきます。
そうしている間も周囲の鳴り止まない不満、電車酔いか匂いなのか両方なのかエズク人、静かにむせび泣く声、疑惑の目を私に向けてくる人。
私は必死に「オレじゃない」と表情で訴え続けました。
そうしてやっと函館に着きます。
時刻は2時少し前、日付は12月24日、とんでもないクリスマスイブです。
やっと地獄から解放され足早に降りようとする人々、綺麗な空気は久しぶりです。
普段は意識せずに吸っている空気がこんなにも幸せなものだったとはと嚙みしめました。
乗車時間はおよそ5時間半、その内3時間もあの地獄の環境を耐えたのか?と改めて自分を褒めました。
男性の背に立っていた女性は下を向いて足早に去っていきます。それもその筈、ダイレクトに浴びているので加害者と思われ兼ねませんし色々とギリギリだったのだと思います。可哀想過ぎました。
男性はというと濃い色のパンツだったので「事を起こした」形跡は見えませんでしたが、ゆっくり堂々と歩いていました。焦ったらバレると思ったのかもしれません。
なぜか私を睨んで来たことを除けば男性も被害者です。悪いのは天候で誰にもどうしようもありません。ただ欠航して予定が狂った上に、その車両に乗り込んだ人はその間、圧倒的に運が悪かったのです。
改札を出て駅から一歩出ると外は真っ暗闇、悪天候で風の音がゴーゴー唸っていました。
函館というと有名な観光地のイメージでしたが悪天候&深夜ということで人が全くおらず、少し上がった気温のせいでドシャ降り&暴風の中ホテルに向かいました。
真っ暗な大雨の中でむなしく響くスマホのナビ、風が強すぎてさせない傘、何とか着いたホテルは綺麗でしたが到着したのは2時半を過ぎた頃、ダッシュでシャワーを浴びて寝すぎないように座ったまま目を瞑り、アラームを5時にセットします。
そして早朝にホテルからタクシーで新函館北斗に向かい始発の北海道新幹線で東京へ向かいました。
この新幹線も前日の悪天候の影響で私と同じ様な人が多いからか超々満員でした。
私は指定席で座れたのですが全ての車両に人がギッシリとおり、お手洗いなどはとても行けない状況でした。
前夜の男性の二の舞いはまずいと寝ることにしました。
ところが目を覚ますと見慣れない景色の中で電車が止まっています。
宮城か福島あたりで電車をコントロールしている基地が雷の影響で不具合を起こしているとのこと。
結局2時間近く止まって動き出しました。
その後はハプニングもなく8時間ほどかかって東京駅に到着。
今思い出してもきつ過ぎるクリスマスイヴの記憶です。
■おわりに
香りは記憶に残ると言います。
書きながら思い出してしまいました。
不運の連続で「運」までついてきたので「超絶良いことあるかも!」と思い宝くじを買いましたが普通に外れました。