『私は会社に必要とされなくなったらいつでも辞めますよ、男は退き際が大事ですから』と口癖のように語る男、プロフェッショナル仕事の流儀の効果音が鳴りそうな台詞です。
男は雑談時、面談時、お酒を飲む時とたびたび周囲に次のような台詞を繰り返し言います。少しボケているのかもしれません。
「私は常に最前線で戦ってきた」
「会社に必要とされなくなったら漢(おとこ)としてひとつの終わりを迎える」
「常に全力で生きてきたから肩を叩かれたらその時が来たというだけのこと」
「長く生きてると大事なモノが分かってくる」
「漢(おとこ)として退き際を誤ることほどカッコ悪いことはない」
そう語るのは60代男性社員、社内評価は常に安定かつぶっちぎりの最低評価、部内の他己評価ではワースト2を大きく引き離す圧倒的最下位で0点にすら届かない絶対王者、社内のES調査では全方位からクレームの大嵐、生ける経緯報告書製造機、やらない&できない&省みないという負の特徴を多く持つ男でした。
そして別記事ホワイトボードに登場したファンタジスタです。
※50代後半から60代に年齢を重ねています。
男は姓名判断では「最高に守られている男」という結果が出ました。
そうなのかもしれません。全く理解できないレベルで残り続けるのです。
※記事中の「③鬼のように仕事が出来ないけど生き残る男性」が彼です。
契約更新の時期や解雇の話が浮上する度に積極的に排除するのは今じゃないか?と決裁権を持つ人間に行動を起こさせようとしますが、様々な要因により判断力を著しく鈍らせては生き残っている男の印象に残っているエピソードをご紹介します。
以下、男性社員のことは60代社員と記載します。
■印象に残っているエピソード5撰
①飲食店にて
それは真冬の仙台。男3人で出張をして「たまには私も連れて行ってください」という迷惑この上ない要望で一緒に飲んだ時の話です。同時期にホワイトボートのエピソードが生まれています。
席に着くと若い女性店員がメニューを持ってきました。飲み放題かそうでないか選ぶように言われます。私たちは量を飲まないので飲み放題は選びません。それぞれ最初の1杯を頼み、食べ物を伝えます。5品ほどだったと思います。
すると少し経ってから若い男性店員がブチ切れ状態でやってきました。
そして怒り口調で「あーのっ!食事メニューは3品までなんすよ!一気に5品はルール違反なんすよ!忙しいのにルール守らない客迷惑なんすよ!」とメニュー表を自分の体にバンバンさせながら言われてしまいました。
飲食店などで横暴に振舞うのは猛烈にカッコ悪いと思っているので怒りはしませんでしたが口調、態度など全てが行き過ぎていたのは明らかでした。そんなルール聴いていないですし、ルール違反だとしても知らない可能性があるんだからまずは控えめに注意するべきですね。
しかし次の店員の言葉で状況が変わります。
「これだから飲み放題の客は貧乏くさくてだるいんだよ!」
私が「え?いや飲み放題じゃないですよ」というと若者は「はっ!?」のあと「え?」となり無言でどこかに・・・。自分の勘違いブチ切れに気づくも謝罪なく奥に引っ込んでしまいました。
飲み物を飲んで3分ほど経ってから3人の中で一番若い社員が「さすがにないですよね?さっきの」と言いました。私も同感で気分が悪いので60代社員に5千円を渡してお金を払っておいてほしい。私と若い社員は目の前の別の店舗で席をとっておくからと伝えました。
別の店で席を確保したもののポンコツ60代社員は迷うかもしれないので私は雪の中を店の前で待つことに、若い社員は自分がと言いましたが私が待っているからいいよと伝えました。
しかし30分経っても来ません。LINEも既読になりません。若い社員も遅すぎるので私の所にきました。2人で雑談しながら待ちます。気温は3度もありませんでした。
60分経っても来ないので電話しますが出ません。
そして70分ほど経ってやっと来ました。しかも偉そうに。
私が「いや遅すぎなんだけど、雪の中めちゃくちゃ寒いよ、何やってたの?」とイラつきながら言うと私よりイラついた感じで「支払いの後で責任者と問題の店員を呼びつけて説教してたんですよ、ああいうの放っておけない性質なんで」と。
だとしたらあの場で私が言うし、お前の性質は知らんし、上司の私と自分より職位が高い社員の2人を氷点下の中で長々待たせて何やんてんだよ!と憤りましたがなぜか60代社員の方がブチ切れ直後で興奮が冷めておらず怒気を滲ませてフーフー言いながら憤っていました。
②配属変更に伴う態度の変化
これはまだ取締役の女帝が権勢をふるっていた時の話です。
新支社立ち上げで一時期、私の部下ではなかったことがあります。それは女帝の判断でした。唯一、私に経緯報告書を書かせた男として名を馳せていたので全く何の影響もなく、むしろチームメンバーのモチベーションは上がり仕事の効率も上がりました。
一方、新しい支社に配属になった60代社員は自分より職位が高い人はいるもののベテラン風を吹かせて責任者の位置にある椅子にふんぞり返っていました。
そして私が視察で行った時です。
本来であれば挨拶に来るべきですが来ません。
そして私から話しかけに行くと「おう!そっちは順調?」と言われてしまいました。
若い女性社員や新人が60代社員の周囲にいたのでマウントしたかったのかもしれませんが限度があります。
一瞬でクビにしようかと思いましたが、まぁいい二度と関わるまい、おっさんにも面子があるよね?と思って我慢しました。
しかし女帝が解任されて状況が変わります。
女帝が去ってから1年ほど経った時に組織改編で再び私の部下となったです。しかもその時は新女帝が連れてきた厳つめの男性社員のスタンドプレイで正社員になっていました。私は嫌でしたが再び配下となったのです。チームメンバーに頭を下げて「彼が再びやって来る、申し訳ない」と言うと普段は従順な皆が不満を露わにしていました。
組織変更の周知がされたあとに再び支社を訪れたのですが、その際は出入り口まで出迎えに来て「お待ちしておりました。飛行機は大丈夫でしたか?天気が悪くて心配していました」と心にもない忖度をされて余計にムカつきました。
③大炎上の火消しを全社でしていた時
全社を揺るがす大事故が発生し4か月もの間、大炎上していた時期がありました。そして大炎上が沈静化して少し経った時に数名の男性社員だけで雑談をしていた時のことです。
60代社員は自分の年齢や見た目は全く考慮せずに20歳から28歳までの女性を恋愛対象と豪語していました。なぜ20歳からかというと19歳の娘がおり娘と同じ年もしくは娘より年下はさすがに……という最低最悪で意味のないギリギリの倫理観からでした。1歳しか違わないなら変わらねぇよと。しかもこれを30代~の女性社員やパートさんの前で言うのです。女性陣の「お前が言うなっ」、「鏡って知ってます?」的な目線と吹き出る怒りと嫌悪感のオーラは未だに忘れられません。思うのは個人の勝手ですが言うのはやめろと何度も言っているのに言うのです……。
そんな60代社員を含めて男性社員だけで女性に関する会話をしていた時です。
「私も少し前に女の子と遊びに行きましたよ、何回か」
周囲がザワつきます。とうとう来ちゃったか……。でもまだ早くないか?ボケるにはと。
周りの信じられないという雰囲気を察してか次々とエピソードをぶっ込んでくる60代社員、それは次のようなものでした。
「行けつけのバーの店員さんで27歳の子なんですよ」
「スタイルが良くて顔も美人で好みにドンピシャでした」
「○○頃に他のお客さんがいないタイミングがあったんで声をかけて何回か食事に行きましたね」
それはパパ活じゃね?と思ったのですがそれよりも気になることがありました。
「ん?○○頃って、その後はいつ頃に遊んだの?」と聴きました。
「最初が○月の初め頃で次が○日頃で最後が○日頃ですかね」との回答でした。
そうです。60代社員は我々が全社&チーム一丸となって歯を食いしばって頑張っていた期間に仮病で休んで、もしくは嘘の理由で早上がりをしてパパ活をしていたのです。
クズでした。
「え?いやいや、俺らが頑張って今が正念場って言ってた時に嘘ついて休んで女の子と遊んでたってこと?」とキレ気味にいうと失言に気づいたようで馬鹿みたいに「あっ」という顔をします。
そして頭に手をあてて"アチャー"みたいな仕草と共に「時効ってことで」とほざかれました。仕草も反応も発言も全てが古いし、とにかくイラついたのを覚えています。
④人に厳しく自分に超甘い
とにかく自分には超甘くて人に厳しいのが特徴でした。
20代女性と自分より職位が高い社員以外には高圧的で厳しかったのです。
「私が若い時は」、「昔はこんなことやってたら」等とNGワードを連発するのが日課、少しでもミスがあるネチネチとマンツーマンディフェンスで粗探しをして追い込みます。アルバイトの面接ではビジョンはあるのか?5年後や10年後はどうするのか?ロジカルじゃない話は聴きたくない等と自分のことは完全に棚に上げてほざきます。
幾度となく「彼は見込みがありません。他の社員の足を引っ張ってます。ご判断を願います」と武士っぽく言ってくることがありましたが私や別の人間が直接みると60代社員より数倍良いことばかりでした。
一方、なぜそこまで自分のことを棚にあげることができるのか?
なぜ他者に求めていることを自分には一切求めないのか?
全く理解できませんが自分には超甘いのです。
⑤定期評価1on1
とにかく自己評価が高く己を全く知らない。鏡を見た時に目の前に映っているのが大谷翔平さん、井上尚弥さん、孫正義さん、柳井正さん、スティーブ・ジョブズさんに見えているのではないのか?というくらい認識が合いません。
「評価は甘んじてうけます、どのような結果でも異論はありません」と冒頭で言いながら「1つだけいいですか」がエンドレスで続き、なぜ低評価なのか?をいちいち聴いてきます。そして普段は全く回答できず喋れないのにこういう時だけ饒舌なのです。余計にイラつきます。
また冒頭に記載していますが社の取り組みで職務要件を元にした評価を自己と周囲のメンバーが行う他己で実施するという取り組みがあった時です。
5点満点で最低は-1点、彼の自己評価は驚愕の「4.70」点でしたが他己評価も驚愕の「0.30」点でした。しかも「自己評価が他己評価より高かったらカッコ悪いんでちょっと抑えちゃいました」と分かった風な口をきいておいてです。
私が最も信頼し評価していた社員の他己評価は4.80でしたが60代社員の自己評価は0.10劣るものの項目によっては勝るという内容でした。
社内にて他己評価が3.00以上であることが定期評価で加点される条件の1つであったため「0.30」というこの世のものとは思えない評価についてどう思っているのか?を聴くとファンタスティックな返答がありました。
「人の目は気にしていないですね」(キリっ)
いや気にしろよ!これはそういうことじゃないよ!!
「周りを気にするのではなくまずのは目の前のことに集中したいと思います」
見た目だけなら重役の雰囲気で自信満々に言われますが目の前のこともやってないんだよ!と思いました。
この手のやる気がなく努力も全くせずに自己評価だけでが高い人に共通して分不相応な報酬を欲しがるということもあります。
例えば殆どの人は「来年から君の年収を1億円にします」と言われたら嬉しさよりも「なんで?」が先に来ると思います。3,000万、5,000万、8,000万でも同じだと思います。年収が上がると責任が重くなったり見る範囲が広くなったりします。また自分より貰っていない人と比較して成果を格段に上げないといけません。
しかし彼らにはそんなことは一切関係ありません。
年収1億にします → ありがとうございます!……で終わりです。
責任が重くなるとか成果をあげないといけないという認識は皆無です。
求められた成果が上げられなくても他責です。常に他責。
人のせい、環境のせい、時期のせい……。
⑥叱られたくない主義
余りにも出来ないばかりか重大な事故を起こしても謝罪や反省がないため何度か腹を割って長時間話したことがあります。
そして彼が発したのは「私は叱られたくない主義なんです」という名言です。
仕事は遅いし、ミスも多いから注意されたり叱られたりは避けられません。
しかし「叱られたくない」のです。更に頑張りたくない、努力はしたくない、給料は上げてほしい、休みも増やしたいのでした。
「私と話す時はみんな褒めるだけにして欲しい、それ以外はいらないんです」
これは60代社員が少し目線を落としてブリっ子気味に私へ言い放った言葉です。
様々な手法で彼ができることを探し、高給を払いながら1on1やトレーニングを重ねて本人も同意の上、もしくは本人の希望で任せていたにも関わらず日々の遅延や漏れ、ミスを繰り返し周囲に迷惑をかけて助けられている漢が発した台詞です。
絶望、絶句、匙を投げるには十分でした。
「それならねウチは難しいよ、自分にあった仕事があると思います」と言うと無言、涙目で無言、おっさんの無言、そして何かの力(震災、大事故、急な退職者、コロナ等々)が働きウヤムヤになるということが10年以上続いたのでした。
私の器が小さ過ぎるのもかもしれませんがついでに1つ。
何かのタイミングで60代社員の持つ会社の携帯を借りて関係会社に電話をした際の時です。電話を終えて目に入ってきた発着信履歴、そこには私やチームメンバー、社内の何人かの着信履歴があったのですが全て呼び捨てでした。これはまぁ人にも寄るのでしょうが私は60代社員はもちろん社内の全員を○○さん、社外の人は○○様で登録していたので「え?これ○○さんて私たちのことを全員呼び捨てで登録してんの?」と聴くと「ええ、連絡帳はいつも敬称なしですね」と男らしく回答されました。日頃の諸々があるのでイラっとしましたが余りにも当然の様にかつ威風堂々としていた為、それ以上は突っ込みませんでした。
そんな60代社員は私が知る限り2番目に仕事が出来ない男です。
■おわりに
「私は嘘はつかない、嘘だけは絶対につかないのがポリシー」と言っていたことがあります。モノは言いようですね……。
本人は嘘と思っていないのかもしれませんが、ミスや漏れ、遅延が発生した時には「ちょっと◯◯やってて」、「◯◯さんのフォローが先に必要で」、「既に出したつもりでした」等と周囲に確認すると事実無根の言い訳を頻繁に繰り出していました。
ここまで酷いのは中々ですが、
・自己評価が他己評価より圧倒的に高い
・努力は全くしないが要望はハイパフォーマー以上
・承認欲求が強く叱られる事が大嫌いでひたすら褒めるだけの上司を求める
というのは出来ないけど生き残り続ける人の共通点だと思います。
またこの手の社員の特徴としてよく目が合います。こちらは戦力として見ていないので全く意識せず見渡しているだけですが、アチラはこちらを常に気にしているのです。
このような状況でも生き残り続けます。
彼は強力な何かに守れているとしか思えません。