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中国歴史ドラマ『三国志 Three Kingdoms』は歴史ドラマの最高傑作である

空城の計

中国歴史ドラマ『三国志Three Kingdoms』について書きまくりたいと思います。

そもそもが有名すぎる物語ですし、短編や長編含めて作品化は数え切れないほどされていますが、三国志ドラマの最高傑作であることは間違いないです。

三国志好きは観るしかありません。
歴史好きな方もぜひ観てください。
歴史は好きではないけど映画レッドクリフを観て楽しかった方や映画キングダムを観て楽しかった方も観てください。
歴史好きでない方も時間があれば1話だけでも観てほしいです。

素晴らしい作品で、今あるすべての歴史ドラマの中で最高傑作だと思っています。
本作品が登場するまでは日本の大河ドラマのいくつかの作品や年末年始のワイド時代劇のどれかが最高傑作だと思っていましたが、今はダントツでこの『三国志Three Kingdoms』だと思っています。

私の三国志との出会いは小学5年生の夏休み。青い鳥文庫の1冊完結の小説三国志です。
その後はKOEIシュミレーションゲーム三国志Ⅲ~三国志Ⅺ、横山光輝さんの三国志、龍狼伝、蒼天航路、ドラマ『三国志』(1994年)、各種小説三国志や考察本などと続き、レッドクリフ趙雲伝、関羽伝、曹操伝などの単発もの等さまざまな三国志ものを経て2012年にレンタルDVDで本作にたどり着きました。繰り返し観た後に限定BOXも購入しています。

三国志を描いた作品は映画、ドラマ、アニメ、漫画、小説等々たくさんありますが、その中で圧倒的なボリューム、イメージ通りの配役と吹替、最高の役者さん達の素晴らしい演技で最初から最後まで楽しんで観ることができました。

予告編動画のナレーションの最後は「エンターテインメントの頂点、三国志」ですがその通り過ぎてヤバいです。


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以前はAmazonprimeで全話無料で観れたのですが、今は観れなくなってます。

例の動画サイトでは観れるとか観れないとか。。。

少しでも興味があり、お時間あればぜひ観てくださいm(_ _)m

 
■概要
三国志』(さんごくし、簡体字: 三国、英語: Three Kingdoms)は、2010年の中華人民共和国の大型歴史ドラマです。
全95話あります。総制作費は日本円で25億円、撮影期間は2008年9月から2009年7月までで登場人物は300人、エキストラ数は延べ15万人にのぼります。
脚本は朱蘇進さん、周志方さん、郝中夙さん、韓増光さん、監督は高希希さん、演出は李木戈さんです。


日本での放送、ソフト化では英題付き『三国志Three Kingdoms』と呼ばれることが多く公式略称が「三国志TK」となっています。
また1994年のテレビドラマ『三国志演義』と比較されて「新三国」とも呼ばれています。小説『三国志演義』をベースに現代的な新解釈を盛り込んだ新時代の『三国志』ドラマです。

 

■素晴らしい役者さんたち
陳建斌さん(チェン・ジェンビン) → 曹操
于和偉さん(ユー・ホーウェイ)  → 劉備
陸毅さん(ルー・イー)      → 諸葛孔明
何潤東さん(ピーター・ホー)   → 呂布
倪大紅さん(ニー・ダーホン)   → 司馬懿
于栄光さん(ユー・ロングァン)  → 関羽
康凱さん(カン・カイ)      → 張飛
張博さん(チャン・ボー)     → 孫権
聶遠さん(ニエ・ユエン)     → 趙雲
陳好さん(チェン・ハオ)     → 貂蝉
林心如さん(ルビー・リン)    → 孫尚香
黄維徳さん(ビクター・ホァン)  → 周瑜
于濱さん(ユー・ビン)      → 曹丕

三国志演技は前半の主人公が曹操、後半は諸葛亮で最後半は司馬懿へバトンタッチという流れですね。
私はとにかく劉備役の千和偉さん(ユー・ホーウェイさん)に惹かれました。劉備という超重要かつ演技なので正義役というだけでなく、とにかく演技が素晴らし過ぎました。
ちなみに「項羽と劉邦 King's War」では嬴政(始皇帝)、司馬懿が主人公の「三国志司馬懿 軍師連盟~」ではなんと曹操を演じられています。この曹操も威厳が半端なくて素晴らしいです。劉備から曹操へのジョブチェンジはなかなか斬新でしたが、威厳ありすぎて詰められている曹丕と同じくらいテレビ画面の曹操にビビりました。

そしてさすが超大国で人が沢山いる中国!!美男美女のレベルが半端ではない。とにかく物凄い美男美女。もちろん美男美女ばかりではなく、弱々しい人、荒々しい人、怖そうな人、面白い人など様々です。

 

イケメンと美女が大勢出演というだけでなくイメージにあった配役、演技と素晴らしかったです。


■配役、吹替の声がベスト
先にも触れていますがとにかく配役と吹替の振り分けが素晴らしいです。知的、威厳、猛将、猪突、勇将、馬鹿、雑魚などすべての配役が素晴らしく、この人がイメージと違うとか嫌ということはありませんでした。中でも劉備曹操諸葛亮趙雲関羽張飛黄忠司馬懿孫権呂布龐統魯粛劉禅、邢道栄、曹丕、曹真、曹仁は良かったです。イメージ通りの見た目、イメージ通りの吹替の声、次から次に迫りくる感じで盛り上がります。各部の最初と最後のナレーションも秀逸で最高です。


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劉備役の千和偉さん
項羽と劉邦 King's War」で嬴政(始皇帝)、「三国志司馬懿 軍師連盟〜」で曹操を演じられています。めちゃくちゃ演技が巧くて素晴らしい役者さんです。千和偉さんについては別記事でもご紹介しています。

 

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曹操役の陳建斌さん
この作品で香港第1回亜洲彩虹奨の最優秀男優賞を受賞したそうです。他作品では雍正帝を演じています。雍正帝は歴代皇帝の中でもトップクラスの名君である康熙帝(こうきてい)の第4子で清の第5代皇帝です。2017年には「大宋伝奇之趙匡胤」で趙匡胤を演じています。趙匡胤(ちょうきょういん)は、北宋の初代皇帝です。趙匡胤のことを「宋史」は、堯・舜、殷の湯王、周の武王以降の相次ぐ乱世で荒廃した社会を救う、四聖人に匹敵する才の持ち主として高く評価しています。このような自国の聖人に充てるのですから素晴らしい役者さんに決まってますね。

ちなみに中国では皇帝が亡くなったあとに諡号を贈ります。名君には良い諡号、暴君や暗君には悪い諡号を贈るようになっていました。
良い諡号は神、聖、賢、文、武、成、康、献、懿、元です。神とか聖とか賢は見るからに良さげですね。
逆に悪い諡号は、野、戻、厲、昏、煬、幽、夷です。とりあえず幽が良くないのは分かりやすいです。
陳建斌さんが演じた2人の皇帝は趙匡胤が太祖、康熙帝諡号は聖祖で初代ではないのに祖がつき、長い中国の歴史でも2人しか許されていない聖(もう一人は遼の第6代皇帝で聖宗と諡号された耶律文殊奴)までついているスーパー名君です。

 

趙雲役の聶遠さん
イメージ通りの勇将で長坂のシーンは素晴らしかったです。なぜか出演者が出てエピソードを語るバラエティ風の番組では丸坊主になっており最初誰だ?となりました。「新・少林寺伝説」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」の頃の李連杰さん(リー・リンチェイ/ジェット・リー)のような雰囲気です。

 

孫権役の張博さん
若きエリートという感じが出ていました。その他の作品でも同様の役柄が多いようですね。
その後では漫画キングダムで六代将軍と共に秦の隆盛を築いた昭王を演じられています。

 

諸葛亮役の陸毅さん
素晴らしかったですね。長身、知的というイメージにピッタリでした。ちなみにこの陸毅(ルー・イー)さんは過去に日本の烏龍茶のCMに出られてました。

 

張飛役の康凱さん
項羽と劉邦 King's War」で樊噲、岳飛伝では岳家軍の力の象徴である牛皋(ぎゅうこう)水滸伝では黒旋風の李逵(りき)と同じようなイメージの方を演じまくってます。また張飛を演じるにあたり15Kgも増量したそうです。役者魂半端ないですね!!

 

呂布役の何潤東さん
欲にかられ暴れまくる最強武将をうまく演じてました。そして「項羽と劉邦 King's War」では項羽を演じられています。こちらの何潤東さんもめちゃくちゃかっこ良かったですね。若く猛々しいが、若さゆえに間違えるという葛藤みたいなものもうまく表現されていて良かったです。呂布項羽も最後は悲しいので、YouTubeで最近の何潤東さんを探したら今風の服装で元気(当たり前ですが)で気が楽になりました。

 

司馬懿役の倪大紅さん
見事に妖しい雰囲気、主役側に相対する大ボス軍師というイメージ、内に秘めたものを見せず何を考えているか分からない雰囲気など素晴らしく、最初に司馬懿として登場した際は良い意味で「うわぁ、すげぇ」と独り言を言ったのを覚えています。

 

曹丕役の于濱さん
曹操劉備周瑜司馬懿などよりも目立ち度が下がりますが、私は曹丕役の于濱さんの演技にも注目しておりました。「三国志司馬懿 軍師連盟〜」で曹丕を演じられた李晨(リー・チェン)さんも実の親である曹操にビビりながら努力する様を素晴らしく演じられていましたが、曹操健在の時代はとにかく弱々しく目立たないように謙虚に過ごし、表情や態度を卑屈な感じでいて、代替わりと共にひげを立派に生やし、大人数を使って大きな輿にこれ見よがしに足を組んで座るというギャップなど于濱さんの演技は素晴らしかったです。ちなみに「項羽と劉邦 King's War」ではダメな方で有名な胡亥を演じられて、これも名演技でした。

 

劉禅、曹真、邢道栄の御三方
もしかしたらオファーされた方も戸惑いがあった(特に劉禅と邢道栄)かもしれませんがザ演義のイメージを更に大げさに演出して演じられていたと思います。ザ二代目のバカボン風の劉禅さん、曹一族の権勢で分かり易く粋がって、ミスは部下に擦り付けまくるザダメ将軍の曹真さん、もはやコントとなりつつある孔明と口喧嘩し張飛趙雲に喧嘩を売り秒で捕まり命乞いするも次から次に名言を吐いて楽しませてくれた邢道栄さん。物語にはこういう分かり易い方々が必要ですが演じられるとプライベートでもそういうイメージを持たれる可能性があり、多少なりともご苦労があると思います。敬意を表します。本当に素晴らしい演技でした!!

 

ちなみに1994年の三国志演義では孫彦軍(劉備)、唐国強(諸葛亮)、鮑国安(曹操)、陸樹銘(関羽)、李靖飛(張飛)が良かったです。趙雲もよかったですが張山、楊凡、侯永生と3回も役者さんが変わるので省いています。
中でもザ優しい雰囲気の孫彦軍さん劉備、知的で長身の唐国強さん諸葛亮、多くを語らない武骨で精強な陸樹銘さん関羽、ザわんぱく李靖飛さん張飛はイメージ通りでした。


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唐国強(諸葛亮)さんは、とんでもない数の中から選ばれて諸葛亮役をゲットしましたが、インタビューで自国の英雄を演じることに迷いや葛藤があったという話をされています。
私がもし役者だったとして織田信長、真田信繫とかのオファーが来たら嬉しさよりも怖さの方が勝ると思います。。。


■素晴らしい歌、オープニングとエンディング映像


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名作は音楽も名作ですが、『三国志Three Kingdoms』も素晴らしいです。

オープニング「還我一個太平天下」で歌は廖昌永さん
エンディング「英雄往来天地間」で歌は譚晶さんと「天地莽蒼蒼」で歌は湯燦さん 

何て言っているかは全く分かりませんが、中国語の歌は綺麗で聴きやすいですね。

ただし時系列が前後しまくった先の方の名場面も切り取って、歌と共に流しておりネタバレしまくりです(笑)


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エンディングは2つあり、↓こちらが2つ目です。


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例えば最序盤で曹操董卓に追われ危機に落ちいったり、捕まったりしますが思い切り歳をとって皇帝風の冠を被っている映像が出たりなど。
まぁ三国志は有名すぎる物語なので構わないと言えば構わないですが初見の方がもしいたらネタバレに次ぐネタバレ映像が流れます。

中国の歌番組!?みたいな映像で廖昌永さんがオープニングソングを歌うのですが、周りや映像で三国志の兵士のような方々が演舞っぽいことをする映像があります。こちらもめちゃくちゃかっこよいですね。


■部構成と見どころ

物語は第1部~7部で各部の最初には、これまでのあらすじと各々の部の見どころ紹介的なパートがあります。これがまたかっこよいです。
全部で95話ですが、私が特に惹き込まれた回は下記で★印をつけています。

①第4話「関羽華雄を斬る」
虎牢関の戦いで曹操にすすめられた酒が冷める前に猛将華雄を斬ってしまいます。前段で他の名だたる武将たちが大勢を引き連れて豪華な武装をしている中で劉備関羽張飛しかおらず見た目も貧相なことから舐められまくります。そこを誰も敵わず、テンパり始める軍の中で意気揚々と帰陣してくる関羽はカッコよすぎます。

 

②第5話「三英傑、呂布と戦う」
今更ながら関羽張飛の両方を相手に優勢気味だった呂布はとんでもないですね。弓があるので離れたら確実に呂布の勝ちですし。演義では、これ以降の関羽張飛関羽黄忠龐徳と一騎打ちで長期戦、張飛馬超と許褚と長期戦以外はほとんど瞬殺しています。呂布以外では圧倒的な強さを関羽張飛が見せることで呂布の異常さが際立ちますね。

 

③第8話「王允の離間の計」(第9話「鳳儀亭の貂蟬」、第10話「董卓の死」も繋がっています)
老獪なおじいさんの気合の入った計です。観ていると董卓の次に悪いのは王允じゃねぇか!?というくらい悪だくみます。まぁ呂布の主殺しは論外ですが迫られたら若いしそりゃ引っ掛かるよね。。。作品によって呂布貂蝉の関係やエピソードは少しずつ違ったりと様々ですが本作では本気で想いあってる風に描かれてると思います。
貂蝉が架空の人物なのを知ったときは少し寂しかったですね。ただモデルとなった方はいて、その方は董卓の侍女だったようです。

 

④第15話「轅門に戟を射る」 
飛将軍呂布が弓の上でも半端じゃないことを示す有名なエピソードです。何潤東(ピーター・ホー)さんのよさもあり名シーンでした。

 

⑤第23話「関羽、三事を約す」
曹操関羽に対する片想い、プレゼント攻撃です。ここで降っていたら神様にはなれていませんがとんでもなく栄華を極めたことでしょうね。

 

⑥第24話「白馬の戦い」 
23話のプレゼント攻撃の続きです。ここで赤兎馬が再登場します。他のプレゼントでは全く喜ばなかった関羽赤兎馬を受け取った際は跪いてお礼を言いますが、その理由を聴いた曹操の寂しそうな顔が印象的です。英雄は英雄を知るですかね。しかしこの期間の出来事が赤壁後のやりとりに繋がるので人生は何が起こるか分からないですね。

 

⑦第31話「的驢、壇渓を飛ぶ」 
水鏡先生の登場です。ここから軍師という者の重要性が一気にクローズアップされていきます。


⑧第32話「徐庶諸葛亮を薦む」
関羽張飛趙雲という勇将はいるが軍師がいない。勇はあるが知がない。一番最初に三国志を読んだ小5の時は分かっているようで、余り分かっていませんでしたが今ははっきり分かります(まぁ当たり前ですけど)ここから軍師の凄まじさと劉備軍の飛躍が始まります。


⑨第33話「三顧の礼」 
はいはい、三回目まで会えませんよ。三回目で味方になりますよ!!と思いながらも分かっているのに楽しめる回です。


⑩第36話「長坂坡の戦い」
趙雲最大の見せ場ですね。三国演義を元にした三国志系の作品では必ずある超見せ場のシーンです。KOEIの三国無双でも描かれるシナリオなので有名中の有名エピソードですね。


⑪第39話「蒋幹、手紙を盗む」 
静かな戦いですが騙そう裏切ろうとしてくる中で裏をかいたり、わざと受けたりだったりと役者さん達も目線や表情で演技することが多いシーンで見応えがあります。


⑫第40話「草船で矢を借りる」 
有名な10万本の矢です。それ以外にも39話から続く周瑜との知恵合戦など派手さはなくとも楽しめる回となっています。2019年の特別展「三国志」では、この場面の特設エリアがあり壮観でした。


⑬第49話「趙雲、桂陽を取る」 
かの有名な猛将が登場する回です。三国志演義の中で最序盤の名声0時代ならまだしも、赤壁後の孔明張飛趙雲に自ら喧嘩をふっかける勇ましさ。まさに「一世虎将」です。イメージ通りの役者さんが大袈裟にポンコツを演じています。シリアスな場面なのに劉備サイドもちょっと半笑いで豪華なセットと豪華な役者さんを使った豪華なコントですね(笑)
三国志は歴史に残る英雄たちの凄まじいドラマですがこの回だけは様子が違ってます(笑)


⑭第54話「甘露寺に婿を招く」 
ルビー・リンさんの美しさが半端ないですね。孫権周瑜はそんなつもりじゃなかったのに、みるみる話が本気で進んでしまいテンパる様相も見どころです。


⑮第59話「銅雀台に詩を戦わす」 
龐統が仲間になります。人は見かけによらないということ、素直に謝る劉備や仲間になる際のやりとりは何度も観た名シーンです。
また59話内の別シーンでは爪を隠している曹丕司馬懿がツッコミを入れるやりとりもあり、非常に見応えがある回です。

 

⑯第73話「曹操薨去」 
賛否あるも稀代の英雄が退場する回です。私的至高のシーンがある回です。電話もネットなく、そもそも言葉も通じず、連絡しても1か月かかるような範囲をマネジメントするってとんでもないですね。現在に残る孫子の兵法を作ったり、芸術スキルもあったりと三国時代のスーパーマンです。

三国演義が広く知れ渡り過ぎたために中国では長らく曹操=悪者として認知されてまい、墓も荒らされたようです。

 

そして、この回では全回の中でも最も悲しいと言っても過言ではないシーンがあります。関羽劉備がに会いに来るシーンです。
曹操関羽の退場時期は近いため、どの作品でも同時期に描かれていることが多いと思います。
このシーンの于和偉さんの演技は圧巻です。表情、涙、キレ具合とどれもパーフェクト。
日本の長編ドラマ「壬生義士伝」の渡辺謙さんの演技をみて圧倒されまくりましたが、本作を観てから私の中のNo1役者さんは于和偉さんになっています。

会いに来る関羽→嬉しそうな顔で話かける劉備→不吉なことを言い去る関羽→必死に呼び止める劉備関羽が去ったあとにわけが分からず困惑するも嫌な予感が表情に出る劉備→言い難すぎて死にそうな顔で報告に来る諸葛亮→命からがら荊州から成都に報告にきた使者→全く非がない使者と諸葛亮に当たり散らしたあと気絶する劉備

三国志の登場人物の中で関羽は好きではない方(むしろワースト方面)ですが、演義は蜀よりなのでどうしても感情移入しますね。
恥ずいので余り言いたくないですが、このシーンは50回くらい観ているのに毎回目に汗がたまります。。。

ちなみに本記事を書きながら復習で観た際も汗がたまり作業が一時中断となりました。。。


⑰第82話「陸遜、連営を焼く」 
穏やかで温和に描かれることが多い劉備が仇のために怒り狂って怒声を上げまくります。
狂ったように怒る表情や言動、和睦にきた呉の使者である諸葛亮の兄に対する冷酷な態度と、それまでの劉備とイメージが違う見応え抜群の神回です。


⑱第83話「白帝城に孤を託す」 
劉備の退場です。私はこの作品で劉備役の千和偉さんの大ファンになったためこの回に対する思いはひとしおです。


⑲第87話「泣いて馬謖を斬る」 
愛弟子を組織のために斬る。今でも使われる有名な言葉ですね。私は「叱って馬謖を斬らない」のマネジメントで失敗した苦い思い出がいくつもあります。。。


⑳第94話「星落ち、五丈原に逝く」 
題名のままですが巨星墜つです。横山光輝さんの三国志の「定軍山に眠る・・・は、それをどのような気持ちで眺めていたことであろう」という台詞は志、大義、そして無念を現す言葉として強く印象に残っています。


㉑第95話「司馬氏、天下を統一す」 
司馬懿が急に覚醒し、内に秘めたものを一気に爆発させてからの百戦錬磨感たるや!!です。見た目の妖しさと知略、まさに孫子風林火山の「火の如く」のように平らげていきます。立ち上がってからの行動は圧巻の一言ですね。色々な意見があるとは思いますが、三国志の勝者は司馬懿だと思っています。息子も優秀しかも2人、孫も優秀(途中からあれだけど)で勝ち逃げしたわけですからね。

司馬懿役の倪大紅さんも本作の中で素晴らしい演技を披露されています。
日本の役者さんで司馬懿役ならイメージは岸部一徳さんでしょうか。


■各部の概要

前述の通り各部の最初には、これまでのあらすじと各々の部の見どころ紹介的なパートがあります。


これがもうめちゃくちゃカッコいいです。
音楽、ナレーション、見せ方と素晴らしく次から次に畳みかけて来るので「お」、「おぉ」、「おぉぉぉ」が止まりません。


主要な出来事、出来事に主に関わる人物紹介、耳に止まる文言を次々発するナレーションでたまらんです。
この予告、プロモーション映像だけでも鳥肌が立ちまくります。


第一部「群雄割拠」
後漢末期、相国として暴政を敷く董卓を司徒の王允は、若き曹操を使って暗殺しようと企てます。しかし失敗して曹操は逃亡するという所から物語はスタートします。董卓の横暴、桃園の誓い、反董卓勢力の結成、次代の英雄の台頭、朝廷権威の失墜と正に群雄割拠です。


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特にオススメの回には★をつけています。
•第1話「曹操、刀を献ず」
•第2話「曹操、亡命す」
•第3話「曹操、善人を誤殺す」
•第4話「関羽華雄を斬る」 ★ 
•第5話「三英傑、呂布と戦う」 ★
•第6話「孫堅、玉璽を得る」
•第7話「孫堅の死」
•第8話「王允の離間の計」 ★
•第9話「鳳儀亭の貂蟬」
•第10話「董卓の死」
•第11話「劉備、徐州を救う」
•第12話「呂布、小沛に留まる」
•第13話「曹操、皇帝を傀儡とす」
•第14話「呂布の裏切り」
•第15話「轅門に戟を射る」 ★
•第16話「呂布、徐州牧となる」
•第17話「劉備、兄弟と離れる」
•第18話「呂布の死」

 

第二部「中原逐鹿」
曹操の優れた軍略は瞬く間に中原を支配していきます。皇帝の意を汲み早々に相対した劉備は惨敗し関羽張飛とも離散してしまいます。関羽劉備の家族を守るために曹操幕下に入ります。そして中原の覇者を決める官渡決戦、劉備袁紹に与するも敗戦、放浪の上で劉表の治める荊州にたどり着きます。そこで水鏡先生と知己となり軍師徐庶を得ます。中原を支配した曹操は意気揚々と大軍で劉備に襲いかかりますが徐庶の知略で撃破、軍師の価値を思い知る最中で計略により徐庶曹操の元へ・・・。去り際に伏龍の存在を劉備に伝えるのでした。


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•第19話「曹操劉備の暗闘」
•第20話「劉備、命を受ける」
•第21話「吉平、毒を盛る」
•第22話「三兄弟離散す」
•第23話「関羽、三事を約す」 ★
•第24話「白馬の戦い」 ★
•第25話「単騎、千里を走る」
•第26話「古城に再会す」 
•第27話「官渡の戦い
•第28話「田豊、死諫す」
•第29話「夜、烏巣を襲う」
•第30話「曹操、河北を平らぐ」
•第31話「的驢、壇渓を飛ぶ」 ★
•第32話「徐庶諸葛亮を薦む」 ★


第三部:赤壁大戦
劉備三顧の礼諸葛亮を得て天下三分の計を説かれます。徐庶を凌ぐ才の諸葛亮により曹操軍を撃破するも、圧倒的な力の前に劉備は江南に逃れることになります。諸葛亮は曹に対抗するために孫権劉備の連盟が必要であると考え、その締結に奔走します。孫劉連盟の締結、諸葛亮周瑜の頭脳戦、そして三国志最大の戦い「赤壁の戦い」へ突入します。

•第33話「三顧の礼」 ★
•第34話「孫策、孤を託す」
•第35話「諸葛亮の緒戦」
•第36話「長坂坡の戦い」 ★
•第37話「儒者たちとの舌戦」
•第38話「周瑜を怒らせる」
•第39話「蒋幹、手紙を盗む」 ★
•第40話「草船で矢を借りる」 ★
•第41話「苦肉の策」
•第42話「赤壁の戦い


第四部:「荊州争奪」
赤壁で大敗した曹操は本拠に戻ります。曹操は家臣の前で敗戦について語りかけますが、居眠りする司馬懿を気に留めます。司馬懿の才覚を高く評価した曹操はこれを取り立てるのでした。才能豊かな跡取り曹沖の急死、劉備孫権の争い、南へ版図を広げて勢いにのる劉備劉備孫尚香の政略結婚、天才の退場と目まぐるしく動き、雌伏する司馬懿と目が離せません。


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•第43話「司馬懿、出仕す」
•第44話「曹操華北に帰る」
•第45話「曹沖の死」
•第46話「荊州を争う」
•第47話「智略で南郡を取る」
•第48話「魯粛の斡旋」
•第49話「趙雲、桂陽を取る」 ★
•第50話「長沙の戦い」
•第51話「再び荊州を求める」
•第52話「劉備、呉を訪ねる」
•第53話「孫権、兵符を返す」
•第54話「甘露寺に婿を招く」 ★
•第55話「計りて虎穴を脱する」
•第56話「再び周瑜を怒らせる」
•第57話「周瑜の死」

この荊州争奪付近が劉備の全盛期な気がします。


第五部「奸雄終命」
曹操に父の馬騰を殺された馬超は、西涼軍を率いて潼関に攻め入ります。迎え撃つ曹操軍は勇猛な西涼軍に敗れますが、計略を持って韓遂馬超を引き離し西涼を奪い取ってしまいます。敗れた馬超張魯に身を寄せ劉備と戦います。諸葛亮張魯馬超を仲違いさせ、馬超劉備の配下とすることに成功するのでした。五虎将軍の集結、落鳳坡、成都攻略、英雄の退場と勢力が目まぐるしく動く中で各勢力は次代へと代替わりしていきます。


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•第58話「諸葛亮、喪に服す」
•第59話「銅雀台に詩を戦わす」 ★
•第60話「馬騰、都に入る」
•第61話「曹丕に罪を問う」
•第62話「衣を脱ぎ馬超と戦う」
•第63話「張松、辱めを受ける」
•第64話「張松、地図を献ず」
•第65話「江を遮り阿斗を奪う」
•第66話「落鳳坡」
•第67話「劉備益州を領す」
•第68話「単刀会」
•第69話「曹丕、乱を平らぐ」
•第70話「楊修の死」
•第71話「骨を削り毒を除く」
•第72話「麦城に敗走す」
•第73話「曹操薨去」 ★

 

第六部「天下三分」
司馬懿献帝禅譲、魏の建国、蜀の建国、張飛の退場、呉の建国、陸遜の知略、英雄の退場と留まることのないイベントの数々。劉備夷陵の戦いについて諸葛亮に詫びた上で馬謖について言及し、蜀と劉禅を託すのでした。


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•第74話「七歩の詩」
•第75話「退位を迫る」
•第76話「曹丕、漢を簒奪する」
•第77話「張飛、殺害される」
•第78話「劉備、呉を伐つ」
•第79話「黄忠、矢に当たる」
•第80話「陸遜、大都督となる」
•第81話「夷陵の戦い
•第82話「陸遜、連営を焼く」 ★
•第83話「白帝城に孤を託す」 ★

 

第七部:危急存亡
国力回復と南方異民族の制圧を果たした諸葛亮は二代目皇帝の劉禅に「出師の表」を奉呈する。タイトルにもある「危急存亡の秋(とき)」は出師の表の一文です。ここから長きにわたる「北伐」と称した魏との戦いが始まります。諸葛亮率いる軍の進行先には司馬懿が大都督となって赴任していた。諸葛亮は曹一族と司馬懿が対立していることを利用して離間の計を用います。司馬懿はこれまでの功績を鑑みて死罪は免れますが全ての役職を解かれてしまいます。司馬懿がいなくなった魏は諸葛亮の敵ではなく夏侯楙は生け捕りにされ、城は次々に陥落します。雍涼は司馬懿の代わりに曹一族の曹休が大都督として赴任していましたが逃げ出してしまいました。蜀の新生姜維長安に迫る蜀軍、魏の曹叡は曹真を大都督、丞相の王朗を軍師として蜀軍と対峙します。宿命のライバル諸葛亮VS司馬懿の知略戦、街亭の戦い、空城の計、木牛流馬、戦いや寿命で次々去っていく英雄、孔明は秋風五丈原から定軍山へ・・・。


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•第84話「出師の表」
•第85話「罵って王朗を殺す」
•第86話「空城の計」
•第87話「泣いて馬謖を斬る」 ★
•第88話「曹真、兵権を譲る」
•第89話「司馬仲達、計にあたる」
•第90話「曹真、敵を軽んじる」
•第91話「諸葛亮、軍を返す」
•第92話「木牛流馬」
•第93話「上方谷の火、消える」
•第94話「星落ち、五丈原に逝く」 ★
•第95話「司馬氏、天下を統一す」 ★

 

どのタイトルもカッコ良いのですが、各部のメインタイトルが全て漢字四文字でめちゃくちゃカッコいいですね。

 

■『三国志演義』(1994年作品)について
概要で1994年のテレビドラマ『三国志演義』と比較されて『三国志Three Kingdoms』は「新三国」と呼ばれることがあると記載しましたが、その『三国志演義』についてです。


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本作をDVDで購入したのは2003年くらいだったと思います。
今ほどネットが盛んではなく、携帯でネットを見るのも簡単ではなかったので色々なところに問い合わせて、紀伊国屋書店の店頭で取り寄せて購入しました。
価格は10万円前後だったと思います。小学5年生の夏休みに親と里帰りするも暇過ぎて本屋で手に取った三国志、それから漫画、ゲーム、書籍、短編の2時間ドラマと三国志関連の作品にふれてきましたが長編ドラマは念願で初でした。

 

三国志演義』は、羅貫中作の通俗歴史小説三国志演義』を題材とした中国中央電視台CCTV)製作のテレビドラマです。 
三国志演義を題材とした作品はそれまでも数多存在していましたが、規模の大きさから全編の完全映像化は不可能とされていたようです。
しかし、1991年7月に国家的事業として製作を開始しています。製作費は当時の日本円でおおよそ100億円超、動員された中国人民解放軍のエキストラは延べ10万人以上と中国映像史上空前の規模で行われました。
 
現実感と迫力の追求のため、CGやミニチュアは用いられず、曹操が建築した銅雀台や赤壁の戦いの陣営のセットは原寸大で再現、赤壁の戦いの撮影はそのセットや船舶を実際に燃やして行われています。武将の一騎討ちの場面も、武将役の役者が代役のスタントマン無しで行っており、中国拳法は根付いている国ならではですね。 
3年の収録の後、1994年の旧正月に第1話がオンエアされると大きな反響を呼び、放送時間になると、中国の繁華街から人が消えると言われたそうです。
中国版アカデミー賞の飛天賞の最優秀作品賞、最優秀男優賞、美術賞、金鷹賞、金龍賞、中国政府五一賞他、賞を総なめにしています。それまで中国では悪役だった曹操役の鮑国安も主演男優賞が与えられ話題になったようです。 

 

主要な出演者は孫彦軍さん(劉備)、唐国強さん(諸葛亮)、鮑国安さん(曹操)、呉暁東さん(孫権)、陸樹銘さん(関羽)、李靖飛さん(張飛)、司馬懿さん(唐振環)など。

曹操役の鮑国安さんは他では水滸伝宋江則天武后では李世民などスーパーマンを演じられていることから中国の人気役者さんなのだと思います。
劉備役の孫彦軍さんは孫子兵法で孫武を演じられています。孫彦軍さんは当時、小説や横山光輝三国志で思い描いた三国志演義のイメージ通りの優しい顔だなぁと思った記憶があります。ザ劉備という見た目でした。
先にも述べましたが、諸葛亮役の唐国強さんはオファーがあったときに英雄諸葛孔明を演じるのに躊躇して、とても悩んだというインタビューをみました。

 

こちらも内容、音楽など素晴らしい作品なのですが下記2つで残念でした。
①エキストラの方のレベル
緊迫したシーンでヘラヘラ顔でダラダラ走ったり、戦場で戦死した役のエキストラさんがカメラ目線で起きていたりと。。。
ちょっと考えられないことでチェックした?とツッコミを入れてしまいます。

 

②役者が急に代わる
長い作品なので何かの理由で役者が変わるのは理解します。しかし全く説明がないまま全く見た目が違う人に代わるので「なんかお前目立ってるけど誰だよっ!?」となります。脇役の方ならまだしも超メイン級の趙雲など3回も代わります・・・。若々しくてイメージ通りの趙雲がみるみる知らない人に代わるので混乱しました。

 

素晴らしい作品ですがこの2つは残念でした。とはいえ三国志作品では三国志ThreeKingdomsに次いで永久保存版の作品です。

ちなみにこの『三国志演義』(1994年作品)の方が『三国志Threekingdom』より素晴らしいという方々もいらっしゃいます。後者はエンタメ要素が強いので渋さや本格派重視なら前者というのも納得です。

 

結論 → 三国志は素晴らしい!!

 

1990年の半ばに中国に行ったのですが、首都の北京空港すら日本の田舎の駅に劣るレベルでした。メインや目立つ役割の役者さんは別として、今ほど栄えていない部分でエキストラさんのレベルなども高くなかったのだと思います。
それもあり『三国志ThreeKingdoms』の全ての凄さにビビりました。今は超々大国となった中国が本気で作ったドラマに相応しい最高傑作ですね。

 

■『三国志ThreeKingdoms』と『項羽と劉邦King's war』との役者さんの被り
監督が同じ高希希(ガオ・シーシー)さんということで多くの登場人物が同じ役者さんとなっています。


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俳優名=『三国志』での配役=『項羽と劉邦』での配役
ピーター・ホーさん=呂布項羽  
リー・イーシャオさん=静姝=虞姫    
シュー・マオマオさん=許攸=項伯    
イェ・ポンさん=姜維=鍾離昧    
ファン・ユイリンさん=孫堅=龍且    
フォ・チンさん=魯粛張良  
カン・カイさん=張飛=樊噲   
ジェン・ティエンヨンさん=王允=呂太公   
ユー・ホーウェイさん=劉備始皇帝    
ユー・ビンさん=曹丕=胡亥   
シュー・ウェングァンさん=袁紹=趙高 
リー・ジェンシンさん=荀彧=李斯  
ヤン・グァンさん=曹仁=桓楚  
  
ピーター・ホーさんは項羽役で貫録がついたように思います。
ユー・ビンさんはイケてない二代目やらせたら光りまくりますね。『三国志ThreeKingdoms』での曹丕演義も素晴らしかったです。
ユー・ハーウェイさんは劉邦をやってほしかったですね。私は全中国史の人物の中で韓信が一番好きなため劉邦のことはよく思っていないのですが、ユー・ホーウェイさんの劉邦は観たかったです。始皇帝は退場が早すぎます。。。
カン・カイさんはさすがです。イメージピッタリでした。
王允さん、曹仁さん、魯粛さんたちの演技も素晴らしかったですね。


■おわりに
現代のように写真、音声、映像があるわけではないので全てが真実かは分かりませんが、実際にその時にいた人々の活躍がこうやってドラマになり私たちが楽しめるというのは素晴らしい事ですね。日本が日本の一部の狭い範囲で邪馬台国をやっていた時にこれほどの覇権争いをしていたという事実にも今更ながら驚きます。

 

長丁場なので三国志好きでも観始めるのに覚悟が入りますが、観始めたら止まらないと思います。実際私はあと1話だけが朝まで続いたことが何度あったか。。。


余りにも繰り返しレンタルしまくってTSUTAYAに通いまくっていたので、後に購入したDVDBOXよりもレンタル料が高くつき、結局DVDBOXも買うという。。。
TSUTAYAの店員さんにも「あの三国志毎日来るな」とか言われていたと思います。。。

 

しかし後悔は全くしておりません!!歴代最高傑作のオススメ歴史ドラマです。