『ちょっと考えさせてください』と言われてしまったんですよねと言われ最初は意味が分かりませんでした。
これは私自身の話ではなく親交のある他社の部長さんから聴いた『その部長さんと直属の部下である主任の男性社員』の話です。
主任の男性社員とは私も仕事上の関わりがあり知っていました。また周囲で男性社員と一緒に働いているメンバーとも知り合いでたまに武勇伝を聴いていました。
年齢は当時で40代中頃、スタイルはDr.スランプのすっぱマンそっくり、そもそもインプットが全く出来ないため何もかもが上手くいきません。
一時期、私の勤める会社に研修の建前で来ていた事があったのですが、私のチームメンバーからもクレームの嵐で困ったものでした。そして関わらなくなった後も他社の部長さんからたまに武勇伝を聴かされて、その後の活躍も耳にしていたのです。
いい加減ポンコツぶりが問題になっており、部内の360度から総スカン状態、ES調査でも名指しでクレームの嵐で「さようなら」せざるを得ない状況になったらしく面談をしたそうです。
パワハラ上司、古いタイプの上司に悩む社員や若者の話題が散見される昨今ですが、同様にヤル気がない、問題発言や行動が多い、出来ないしやらないのにぶら下がり続ける社員や部下の話題も散見されます。
本記事はそんな後者に通じる所が多々ある主任とのやり取りについて、部長さんから死にそうな顔で共有された話をご紹介します。
■『ちょっと考えさせてください』
余りにも出来ることがないため周囲が忙しく働いている中でシフト作成だけをやるという特殊任務を与えられていた主任。
それにも関わらず常に多忙の雰囲気を醸し出し、口を開けば休めない、ご飯食べる時間もない、今月も残業マズいかもと辻褄の合わない発言が目立っていたとのこと。
そのシフト作成すら抜け漏れが多発して主任が所属するチームや一瞬関わった別のチームからクレームのサイクロンが留まることを知らず肩を叩く決意をした部長。
しばらくの期間、仕事振りや成果を細かくチェックし方針が固まったので次のいずれかを選んでもらうべく面談をしたとのこと。
・◯月付で退職(時期は応相談)
・職位の必要な要件を著しく満たしていないことから減給と降格
そして予定を入れて「いざ面談へ」
少し前に部屋に入った部長、時間を少し過ぎてやって来た主任。
主任の顔は暗く元気がない様子でチームや社内の雰囲気から流石に察しているのだろうと思ったそうです。
ポンコツで良い思い出はないものの、主任には家族がおり、社歴が長いため付き合いも長く内心「言い難いなぁ、申し訳ないなぁ」と思っていたとのことでした。
軽い近況報告のラリーを終えて本題に。
その時、主任は姿勢を正してしっかりと聴く体勢になったと言います。
部長「分かってると思うけど、今回は〜」
ここまで言った所で主任が手のひらを部長に向けて見せて「待ってください、言わなくてもいいです。分かってますから」と言ってきたとのこと。
部長はそうか、もう覚悟してきたのか、ちょっと寂しくなるなと思ったそうです。
とはいえ、いくつか伝えないといけない事もあるので続けようとした所、またもや主任がカットインします。
「よーく分かってます。部長の気持ちは本当にありがたいです。よく私を見てくれてるなと感心してます」
なぜか上からな所は置いといて「ありがたい?」と思い「ん?どうしてありがたいの?」と聴くとファンタジスタのオフェンスが炸裂しました。
「今回の話について妻とも話しました。部長の気持ちは本当にありがたいです。でも子供が産まれたばかりですし、今は家庭を優先したいんです」
部長は「ん?うん?んんん?」となりますが、主任は続けます。
「私を課長に昇進させる件は、ちょっと考えさせてください」
!??? 斬新すぎる。 これぞファンタジスタ。
「いやいや、え?違うよ?今回は〜」
ここでも主任はメッシのような華麗なドリブルでカットインします。
手を部長に向けてドウドウみたいな動きをしながら「分かってます、わかーってます!みなまで言わなくてもお気持ちは重々、そういう時期ですしね、正直、私もそろそろかな?とは思っていましたから」
ありとあらゆる状況、チームメンバー達の主任への態度や言動、定期評価の内容、クライアントの前に出るのは主任の自分ではなく、後輩や職位が下位の社員と自分の上司で仲間外れ。
360度調査やES調査の結果でサンドバックになるほど人事から繰り出されるフィードバック。
何もかもが上司に呼ばれる=ネガティブな話としか思えない状況で昇進の話と勘違いした上に保留にする。
面接部屋に来た時に顔が暗かったのは自分を課長に推薦してくれる部長の気持ちを思うと申し訳ない気持ちになっていたという事らしい...
そんなことある!? あるんです。 見知った人なので話を聴いて私は大爆笑→苦笑いでしたがあるんです。
冒頭に記載の研修の建前で私の勤める会社に来ていた際にもこんなことがありました。
その際は主任とその部下であるチームメンバー2名の合計3名で来ていました。
チームメンバー2名がどんどん成長しノウハウを習得していく中で主任は初日でどうにもならなくなっていました。
研修の最終日に期間中の成果や成長を表彰してMVPを決め商品をあげるというイベントがあったのですが、前夜に真剣な面持ちで私は主任に話しかけられました。
「明日のMVP表彰の件で折り入ってご相談がありまして、今よろしいでしょうか?」
私は予想だにしていなかったので何事か!?と思い2人で個室に移動します。
その際に言われたのは次のことでした。
「○○会社さん、○○さん(私)の気持ちはありがたいのですがMVPは私以外でお願いします」
は!???となりました。
「どうしても成果に差がついてしまうので私にせざるを得ないと思いますし、こんな八百長はよくないって分かってます。でもチームメンバーの○○と○○も初日から見ると成長してます。どうか先々も踏まえ未来ある若者のモチベーションアップにご協力を頂けませんか?」
いや2人とも初日の開始0.5秒でお前は超えてるよ?と思いましたが他社の人なので我慢。
私は「あー、うん?何でご自分がMVPだと思われたんですか?」
するとシンプルかつ明確に
「他に選択肢あります?」とほざかれました。
もはやまっとうに評価して主任以外がMVPとなったら不正認定されるほどの自信満々な顔とすっぱマンに似たガッチリ堂々とした圧にコチラが間違えていると錯覚をするほどでした。
ちょっとイラっとしたのもあり「まぁ不正や改ざんはなしで評価して主任以外の2名になるような気はしてますよ」と伝えました。
すると「ご理解いただきありがとうございます。正しく評価されると私で決まっちゃうので評価スキルに課題があって良かったです。安心しました」とさり気なくフィードバックまでされてしまいました。
内心「え?こいつマジか?おれクライアントだけど?」と思いましたが、これ以上一緒にいると手が出そうだったので話を終えました。
翌日の表彰式ではMVPとなった後輩の若者が表彰されているのを「うんうん、良かった。お前は頑張った。だけどこれに満足すんなよ?まずは俺を目指せ」みたいな遥か高見から見下ろすスタンスで腕を組んでうなづいていました。
本題に戻ります。
主任から「正直、私もそろそろかな?とは思っていましたから」と言われて心が折れた部長は「ちょ、まず聴いて、これだけは聴いて。昇進の話ではないです。ただちょっと今日はアレなんでまた後日話しましょう」と伝えて解散したとのこと。
部長が昇進の話ではないと言った時も「またまた〜(笑)」みたいな顔をしていたらしいです。
その後部長は事態を上長に報告しつつ多くの部署に掛け合いますが異動先は見つからなかったとのこと。辞めてもらうにしても言葉が通じないので自分は関わりたくないと思ったらしくそのままと言っていました。
これは5年〜7年前の話ですが、その後はどうなったか知りません。
■おわりに
中途半端に終わらせる部長も良くないですが主任の事は私も見知っていますし、似たような事をくらったので怖くなったのは理解できます。
それにしても幸せだなと思いますね。
しかし本人は「自分だけ頑張っている」、「なぜ私だけ報われないんだ」、「私なしではこの会社は回らない」、「みんなもっと頑張るべきだよ?」、「転職しようかな」等とよく口にするらしく全く自覚がないようです。
本記事の主任、ワインバーや恋話の記事に出てくる取締役、ホワイトボードの50代社員が私のブログを見ても全く自分事とは思わずに「世の中ダメな奴がいるなぁ」、「色んな人がいるね」等と上からの感想を言うと思います。いや、絶対言う。